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「あー全然そんなんじゃないから。仕事の話じゃなくて……あの、もし空いてたらでいいんだけど、来週の日曜日って空いてる? 無理かな」
どこか恥ずかしそうに言ってきた彼に、つい固まってしまう。来週の、日曜日?
「あ、空いてます!」
「よかった。俺いつも岩坂にはお世話になってるから、食事でもごちそうしようかと」
「いいんですか? 私こそお世話になってるのに」
「いいよ、俺の方が一応先輩なんだし。それと……聞いてもらいたいこともあって」
うるさいほどに胸が鳴る。心臓が飛び出してしまいそうだった。手が震えてしまう。
「だ、大丈夫です。よろしくお願いします」
「じゃあ、また詳細は連絡する」
「は、はい!」
「おつかれ」
私に小さく手を振ると、三田さんは元来た道を戻っていった。その後ろ姿をじっと見つめながら、今起きた現実に頭が付いていかない自分を落ち着ける。
来週の日曜日……。
……私の、誕生日だ。
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