あなたとこれからも

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 しかし上司を通して、三田さんから手紙を一通送られていた。内容としては、とにかく謝罪をしたいこと、自分勝手だったと気づかなかった自分を恥じている、というようなものだった。  彼が心から改心したのかは分からないし、したとしても今までの発言や行動がなかったことになるわけではない。  でも自分の言動のせいで、勤め先を離れざるを得なくなった。会社で出来た友達もきっと離れて行くだろうし、失ったものは、割と大きいんじゃないだろうか。  私はきっと二度と関わらない人だろうし、もし本当に生まれ変わったのだとしたら、私の知らぬ場所でひっそりと一からやり直してほしいと思っている。 「うーん、さすがにこの条件となると、数がだいぶ減るなあ。あ、こことかいいかな?」 「ああ、会社から結構近いですね」 「でもオートロックなしか。却下。安全面は気を付けないと。お、ここも結構いいよ」 「ほんとだ、いいですね! ここって久保田さんのアパートから近いですよ」 「まじ? なおさらいいな。空いてるのは一階と五階か。伊織が五階だな」  私たちは顔を寄せ合いながら、集めた資料を捲っていた。
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