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……なんか、さらっと泊まることが決まって、まるで前からそうしていたように平然と過ごしているわけだけれども、まだ付き合いたての男女なんですよね……私はずっと緊張度マックスなのですが……。
缶ビールを手に持ちながら資料を見つめる透哉さんの横顔を盗み見る。仕事中とは違う、ラフな感じ。まだ見慣れないなあと思った。
「ここいいな。明日内見させてもらう?」
「え!? あ、はいそうですね!」
「周りも明るくて人通りもそれなりにありそうだから、帰りが遅くなっても心配じゃないし。なるべく一緒に帰りたいけど、どうしても毎日ってわけにはいかないからなあ。久保田さんの近くなら、一緒に帰ったりもできるし」
缶を唇に当てながら透哉さんが言う様子が、可愛いと思ってしまった。なんだか急に恥ずかしくなり、視線を逸らす。
少しだけ触れている肩が、やけに熱いと思った。
平日は忙しくて、ただ私の家に送ってくれるだけの生活だった。一度夕飯を一緒に食べたけれど、お酒もなくただお腹いっぱいになって、解散しただけ。恋人っぽいことは何もしていない。
久々に、二人っきりの時間なのだ。
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