あなたとこれからも

31/39
4323人が本棚に入れています
本棚に追加
/293ページ
 資料をテーブルに置き、透哉さんはため息をつく。 「ああ、一応会社は平和になったけど、色々心配は尽きないな」 「すみません、付き合わせて」 「なんで伊織が謝るの? 何も悪くないでしょ。伊織に非はない」 「でも私、つくづく思ったんです。私ってやっぱり内気で気が弱いから、相手を付け上がらせたんだろうな、って。これでも、透哉さんと接するようになって強くなった方なんですが……」  まだまだだろうな、と思う。  そもそも、サークルの時、逃げるようにいなくなったのがよくなかったな。最後までもっと堂々としていればよかった。だから森さんはどんどん付け上がったんだろうし。  あの子に自信を付けさせてしまったのは私だろう。  透哉さんが唸る。 「うーん、それが伊織のいい所でもあるからな。俺はそういうところに惹かれたわけだし。伊織だけじゃなくて、あの子に簡単に落ちた男どもも悪かったし。でもまあ、伊織自身を守るために、もっとわがままで強くなってもいいとは思うよ。伊織はまっすぐで人を信じやすいから、心配にはなる。でも伊織が言うように、前より絶対変わってきてるから、自信もって」
/293ページ

最初のコメントを投稿しよう!