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短く言うと、ずいっと私に顔を近づけた。整った綺麗な顔立ちが目の前にきて、さらに緊張度が上がってしまう。薄めの唇が見えて、そういえばこの口と前はキスしたんだっけ、と思い出し、自分がそんな思考に飛んでしまったことに恥ずかしくなった。
「そんな可愛いこと言って何? 煽ってるの?」
「あ、煽ってなんか」
言いかけたところで、キスで言葉を止められる。
何を言おうとしていたのかさえ頭から吹っ飛んで忘れてしまうくらい、そのキスに翻弄された。そろそろ心臓が破裂してしまいそう。それぐらい、彼とのキスには力がある。
心地いいけど胸は苦しい。そんな矛盾が生じてしまう熱いキス。
しばらくして離れた透哉さんが、どこか嬉しそうに言った。
「人間として久保田さんを尊敬してる、って話。俺はずーっと伊織に片思いしてきたんだから、今更気持ちを疑われると傷つくよ?」
「あ、ああ、す、すみません」
「あと、久保田さんに改めてお礼を言ったらなんていわれたと思う?」
「え……男前の久保田さんですから! 気にするな、みたいな感じでしょうか」
「今度、めちゃくちゃいい男紹介してくださいね、って言われた」
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