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「あはは!」
つい声を上げて笑ってしまうと、透哉さんも一緒になって笑う。二人の笑い声が部屋内に響いた。
透哉さんは笑っている私を目を細めて眺めると、テーブルの上にあった資料たちを簡単にまとめる。
「よし、続きは明日また相談しよう」
「え? あ、はい」
「伊織にも煽られ、俺はもう限界だから、今から手を出すわ」
「あ、は……え!?」
頷きそうになって止まった。彼はにやりと口角を上げる。
ぼぼっと自分の顔が赤くなってしまった。それってつまり、そういう意味だろうか。いや、付き合った男女が泊まるというのに、そういう意味じゃない方がおかしい。
透哉さんは私の顔を覗き込む。
「まさか今晩も手を繋いで寝るだけじゃ、さすがに俺も無理だよ」
肩をすくめてそう言った。
今日泊まっていく、となってから、私も覚悟は決めていた。この前泊まった時は、本当に手を繋いで寝るだけだったけど、さすがに今回はそれで終わらないだろう、と。むしろ、いい大人の男女がそれで終わってしまっては、不思議なぐらいだ。
透哉さんがにこりと笑う。
「さすがに伊織も心の準備は出来たかなあ、と」
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