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「……は、はい、さすがに、多分、大丈夫かと。ああ、でもあの、お腹を引き締めるとかそういう準備は追いついてないですが」
「あはは!」
「あとそそそそれと、私そんなに経験が多くないし、久しぶりなので、お手柔らかにお願い出来ますと」
俯いたままごにょごにょと言葉を並べる私の頬を、透哉さんが両手で挟む。彼は眉を片方釣り上げて言う。
「俺、過去にも嫉妬するタイプみたいだから、久しぶりとかあんまり言わなくていいよ」
「は、はあ」
「あと俺も久しぶりだし」
「でも透哉さんは絶対私とは経験値が違います!」
「えー? あー」
思い当たる節があるのか、天井を見上げて言葉を濁らせる。その様子を見て、今度は私がむっとする番だ。どうしてだろう、そんなの分かってたはずなのに。一時期は普通に恋愛していた、って聞いてたから、モテまくる彼が、経験値が低いわけがないのに。
「やっぱりそうなんだ……」
「あれ? 伊織?」
「多分、透哉さんは綺麗な女性にばかり言い寄られてたと思いますけど、私で大丈夫でしょうか……かなり平凡なタイプなんですが」
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