心の傷と今の恋

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「いいコンビだもんね。まあ、伊織ちゃんの仕事ぶりは、三田さんだけじゃなくてみんな重宝してるけどねー」  笑いながら言ってくれた言葉に、どこかむず痒くなる。分かってる、私は嬉しいんだよな、こうやって褒めて貰って。  入社してもう三年目になる。新人のころとは違い、色々な仕事を任されるようになってきた。与えられた仕事はきっちりこなしたいと思い、毎日全力で頑張っている。  ここは、そんな私をしっかり評価してくれる場所だった。勿論ミスをしたこともあるし、その時は叱られることもある。でもそのあと、ミスが繰り返されないよう一緒に考えてくれる。そんな仲間たちがいる場所だ。  それぞれ仲はいいし、お互いの長所を引き出しあう。素敵な職場環境だと思ってる。  私はちらりと離れた席を見る。三田さんが、私が手渡した資料をチェックしていた。たったそれだけのことで、緊張してしまう。  三田さんは私より三歳年上の先輩だった。入社した時、私の指導係をしてくれていた人だ。仕事の細かい内容を教えてくれたり、気遣ってくれたりと、色々世話を焼いてくれた、とても優しい先輩だ。
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