4351人が本棚に入れています
本棚に追加
/293ページ
咀嚼中のからあげを吹っ飛ばしそうになった。むせてしまったので、慌てて水を流し込む。一体急に何を言い出すのだ。
「ごほっ、なに、言って」
「だってー。みんな思ってるよ? 両想いなのにじれったいなあ。早く付き合えばいいのに。あんたたち息ぴったりだし、微笑ましいからみんな応援してるよ?」
久保田さんが不思議そうに言ってくる。私はうつむいたまま、小さく首を振った。
「私なんて、釣り合ってないです」
「えー! お似合いだって。伊織ちゃんは時々、すごく自己肯定感が低いことあるよね。仕事だってきっちりしててみんなから信頼されてるし、普通に可愛いし、なんでそんな感じなのよー」
時々、久保田さんはこうやって私と三田さんのことを話題に出してくる。ううん、久保田さんだけじゃなく、同じ営業部の年が近い女性社員たちは、わくわくした顔で聞いてくることは多い。
私の指導係をしていたことで、三田さんとは過ごす時間が長くなり、いつの間にかコンビのように扱われることになっていた。気が合うので、よく仕事以外でも雑談をしたりするからなおさらだ。仲がいいね、と何度も言われた。
最初のコメントを投稿しよう!