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 土曜日は、母さんから任務を言い渡されている。一週間分の買い物をお願いね、二人で、と。  並んで歩くのがあまりに嫌すぎて、一人で出掛けた日もあった。しかし、荷物の量が凄まじく、かなり後悔した。徒歩十分の距離は、荷物を抱えて歩くには辛い。以降、仕方なく父さんも同伴させている。  苦手だからと直そうとしない髪を僕がそれなりにしたり、財布を探すところから持ち物の準備を始めたり、数分怒り散らしてやっと玄関に辿り着いた。  父さんが車と家の鍵セットを手にする。チャラリと音が聞こえる度、僕は必ずキーホルダーを見てしまった。 「ねぇ、いい加減外してよ、それ」 「えー、嫌だよ。だって可愛いじゃん」  父さんが気持ち悪い眼差しを向ける。先にあるのは幼き僕の写真だ。  小さい頃の写真をキーホルダーにしたやつ、今もつけてる人いる!?   怒鳴りたくなったが、無駄な労力になりそうでやめた。  こんな人と一緒に行動するなんて本当に嫌だ。本当に、本当に嫌だ。  けれど、母さんの頼みなら仕方あるまい。母さん一人に買い物させるわけにもいかないし。あんま買い物好きじゃないって言ってたし。  一緒に十分くらい歩いて、一時間くらい買い物して帰るだけ。  そうだ。行って買って帰るだけだ。行って買って帰るだけ。行って買って帰るだけ――。  
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