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どこにぶつければ良いのかわからないやるせなさに、握りしめていた受話器がメキッと音を立てた。
大きく息をつく。
私は、死にたくなかった……。
こんな風に突然、終わるなんて思いもよらなかった。
落ち着け。
……もう考えても、どうにもならない。
今、私が感じている苦しみも憤りも……意味が……ない。
受け入れられない。
受け入れたくない。
『ママ、私ね……将来、ママと同じ職業に就くわ! だから空から見守っていてね!』
……桜。
良いんだ。仕方がないんだ……。無理なんだ。
どんなに望んでも。
どれほど願っても。
嘘だ。つらい。
嫌だ。なんな、の……よ。
こんな理不尽、わからないよ。
後悔……ばかりなのに。
桜に、してあげたかった事も、一緒にしたい事も、まだまだ! たくさん、たくさん……。
どうしようもない。どうにもならない。
我慢しなければ……。
もう、私は。
嫌だ! 一体! どうして!
何度も諦めと苛立ちの感情が激しく入れ替わり、自分の細胞が壊れていく感覚がする。
何もかもが突然終わる。
誰も彼もが、納得できる終わりがくるとは限らない。
中途半端な自分のまま、望んでいないまま。
わかってる。
私も……終わったんだ。
とうてい納得できない。
だけど、ね。
「見守るわ、あなたの幸せを」
いつまでも。
『……ありがとう、ママ』
了
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