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「そう。書類をまとめる厚表紙じゃないかって。だから執事さんに台帳か何かなくなってないか調べてもらおうと思ったんだけど、全然聞いてくれないから、十子から言ってもらいたかったの。あと女中頭さんも、鍵のことをはっきりさせたいから言っておいてもらえない?」
縲は事件を解決したくて、バルコニーを飛び移ることまでしてのけた。
是非はともかく、ここまでまっすぐに行動する人間はいま十子のまわりにはいない。
「ふたりには言っておくわ。今日はお食事も一緒にできなくてごめんなさい、ちょっとひとりになりたかったの」
「気にしないで。あんなことがあったんじゃ、誰だって頭くらい痛くなるし。それにわたしもこのとおり、何もできなかったわけじゃないんだから」
縲は頼もしく微笑んだ。
ふと、十子は今朝見た光景を思い出した。
縲はこのまっすぐさで、あの園丁にも話を聞いていたのだろう。
「……もしかして、柳は疑ってないわよね?」
「はいっ!?」
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