2 心配な計画(2)

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 何ごとかを隠したいときは、口数を多くするより何も言わないほうがいい。  裏門の門番に会釈して、尤雄は町へと出た。  秋の早い日暮れに急かされるように、家なり盛り場なり仕事なり、行き先を持つ人びとが道を急いでいた。  どこで撒くか──そう考える尤雄の耳に、明るい声が飛びこんだ。 「興味ないってことはないと思うんですよね。だって彼女、尤雄くんと同じですから」  一瞬自分の気配が変わらなかったか、尤雄は自問した。  まさか、縲と自分が共謀(ぐる)だと察しているのだろうか。  顔に出さないよういつも以上に意識しながら、横目に楓次を見やる。 「何がだよ?」  自分が人に強面(こわもて)な印象を与えることは知っている。  だが、楓次はまったく気にしていなかった。 「尤雄くんも、彼女に会うといいですよ」  かまをかけているのか、単純にそう思っているだけなのか。  楓次の人懐こい笑顔からは何も読み取れない。  だとしたら、反応しないほうがいい。  改めて撒く機会を探そうとしたその矢先、楓次が言った。 「あ、蕎麦屋発見! じゃあ尤雄くん、また」  楓次はさっさと道端の蕎麦屋の屋台へと走っていった。  気勢をそがれて、尤雄はその背を見送った。
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