2 心配な計画(2)

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「……けっ」  舌打ちまじりにつぶやいて、尤雄は再び歩き出した。  回り道をし、背後にも注意して、用心深く向かった先は田友の家だ。  底冷えする板の間に正座でしばらく待つと、田友が来た。  座るのがいやなのだろう、田友は着物の袖のなかで腕組みをしてしゃがみこんだ。 「例の(ぶつ)だがな、裏の坂上の稲荷に隠しておけ。そのあとは両国(りょうごく)あたりの盛り場にひそんでいろ」  声をひそめての指示に、尤雄は淡々と答えた。 「はい」  江那堂男爵家から肖像画を盗み、犯人として捕まって監獄(かんごく)へ行くことが、尤雄に課せられた仕事だった。  園丁としてもぐりこんだときから、おおむねこうなることは承知の上だ。 「出てきたあとはちゃんと見てやる。心配するな」  田友はしらじらしく、尤雄の肩に親しげに手を置いてきた。  尤雄は先ほどとまったく同じように答えた。 「はい」
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