2 心配な計画(3)

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「──ここだから」  縲は足を止めた。  まだ尤雄の頑固さに腹は立てていたものの、送ってもらったことは事実だ。  礼儀は礼儀として守りたい。 「……ありがとう」  相手のためというよりは自分のために、縲は礼を言った。 (ん、これって)  田友に従うという尤雄の行動も同じことかと思いいたる。  確認しようとした矢先、尤雄の短い声が返ってきた。 「ごちそうさん。うまかった」  言うなり彼はさっと身をひるがえし、一瞬で見えなくなってしまった。  あ、と縲はむなしく一声出せただけだった。  ちかちかと星が光る夜空に、冷たい風が吹き抜けていく。  縲は無意識に、着物の襟もとをかきよせた。
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