2 心配な計画(4)

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「駒藤は丙子(へいし)銀行頭取からの紹介よ。確実な証拠もないのに、そんなことを言うものではないわ」 「頭取がなんです、そんな証拠など待っていたら遅うございます! 旦那さまがいらっしゃらないいま、あの男は増長するばかりです! わたくしは十子お嬢さまに何かあってはと心配で」  クメは、この場で駒藤を(くび)にしないかぎり納得できないと言わんばかりの怒り顔だ。  十子は心の底からうんざりした。  クメは自分への賛同を求めるばかりで、そこには理も義も入る余地はない。  せめていま口にできる最大の同意の言葉を探す。 「ではわたしからも気をつけておくわ。あなたも何か証拠があったのなら知らせてちょうだい」  するとクメははっと目を見ひらいた。  その顔にゆっくりと微笑が広がっていく。 「──かしこまりました。たしかに化けの皮を剥いでやればよい話でございますものね」  不穏な微笑だった。  十子はおもわず立ちあがった。  だが呼び止めるより早く、クメはさっさと出ていってしまった。
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