3 事件の幕開け(2)

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 鋭い視線ともども、なんだか言外の意がたっぷりと込められている気がする。  縲はすまして、目撃者に話を聞いた探偵として彼に言った。 「はい、とりあえずは大丈夫です。お話をありがとう」  尤雄の視線が恐ろしいまでに鋭くなったが、無視する。  そこへ楓次がのんびりと言ってきた。 「そういえば、さっきの焼け残りの件ですけど」 (なんだっけ!?)  いきなり言われてあせりつつ、表面上は冷静をとりつくろう。 「ええ、どうしました?」 「調べる前に呼んでこいって言われちゃったんで、まだなんにもわからないんですよ。明日でも大丈夫ですか?」 「もちろんです」 「よかった。じゃあ明日にでも」  わからないまま話を合わせてみたところ、楓次は完全に納得してくれたようだった。  ほっと安堵し、縲は彼につれられて本館に戻った。  尤雄の突き刺すような視線を後頭部に感じたが、気のせいだと思うことにした。
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