うるむココロ

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うるむココロ

 心が乾いてひびわれた。 そんな私にやってきたのは、痛みだけ。 心が何にも反応しないの。 ココロが乾いて日々割れた。 そんな僕にやって来たのは、伊丹だけ。 ココロが何にも反応しない……。 いや、していたんだ。 その存在に。  ひび割れた世界で寄り添うのは痛みだけだった。けれどそれは痛みと共に私にそれを与え始めた。 赤く生温い温度。やさしい温もり。  日々が割れた世界で寄り添ってくれた伊丹には、今の僕でも理解出来ないくらいの何かを与えていたのだろう。 赤く温かい温度。優しい温もり。 乾いていた筈のこころが動きはじめた。 潤いを与えられたこころが動き出した。 閉じ込められたこころが手を伸ばす。 ーー窓……。 窓は解き放たれた。
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