テーブルの上の俺

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テーブルの上の俺

意識が浮上する。誰かが話し合いをしている。 硬い板の上で背中が痛い。 ぼんやりと目覚める。 異様に天井が近い、俺の知らない天井だ。トタンの屋根みたいな波板だが、もっと強度がありそうだ。 ここはどこだ? 俺は体を動かそうと力を入れるが起き上がることは出来ない。 「起きたか」 低いこの声は聞き覚えがある。 意識を失う前に聞いた声だ。 これでどうにかなる、とかなんとか 言ってた気がする。 霞んだ目を瞬かせた。 俺を覗き込む低い声の男は、 顔の3分の2が爬虫類で、残りが人の顔。 爬虫類人間? ハクハクと口を鯉のように開けるが、声は出ない。 「あぁオレか?お前たちの言う宇宙人だよ、そして、お前は俺のメシな」 眉間を寄せて、ポカンと口を開けた。 意味が分からない、宇宙人?メシ? メシってなんだ? 「全く意味が分かってないようだな、察しの悪い、お前の声が出ないのも俺が食ったからだ」 食った?何を? 今俺を食ったって言わなかったか?じゃあなぜ俺は生きている? 「お前、自分のモノじゃない金魄(コンパク)を食っただろ、あれのせいでお前は、尋常じゃない再生能力を授かったんだ、良かったな多少食われたくらいじゃ死ななくなったぞ」 ゾッとして首を振る。 金魄?あの金色の小さい玉か。 「そうか嬉しくないか、でも、元々治癒力の高いお前がより治癒力の高い人間の金魄を食ったせいでこうなったんだ、諦めろ」 途方に暮れた。 「あのぉ、コンパクとはなんでしょう」 声のした方を見る。スーツを着た男女がいる。 俺を挟む形で、宇宙人と人が向かい合っている。 ここ、テーブルの上じゃねぇか、まな板の鯉ならぬ、テーブルの上の俺か? 笑えねぇよ。 「金魄か?そうだな、お前らはみんな特徴ってもんがあるんだろ? 同じ人間はいない、金魄は人間の特徴と魂の一部を取り出したものだ、きっと。 俺もよく知らねぇよ、元々俺は学はねぇしな、お前らだって俺の体の中がどうなってるかなんて知らなねぇだろ」 「はぁ、確かに」 スーツ姿の女性は困り顔で引きつった笑い顔になっている。 「それで、あの化け物はあなたが殲滅して、もう卵だけなんですねよね」 今度はスーツ姿の男が口を開いた。 「まぁ、ここいら一帯の成蟲は殺したけどな、確かに卵は殺ってねぇな、あれは硬すぎでどうにも出来ねぇ、卵の場所は教えてやったから囲んで、成蟲になったら殺せばいいだろ」 「いいえ、我々の武器では一匹も殺すことは出来なかったのです。 そこで、あなたに産まれてくる成蟲を殺して頂きたい、望むものがあればできる限りで用意しますので」 「望むものねぇ」 チラッと宇宙人が俺を見た。 なんで俺を見たんだ?宇宙人 「お前なぁ宇宙人に宇宙人て、俺には名前があるんだが」 俺の考えを読んでるのか? 「出来ないのか?地球人は」 できる人間はいねぇよ 「地球人ってぇのは、ふべんだなぁ、オレの名前はディアロプスだ。 故郷じゃディーって呼ばれていた、お前もディーって呼べよ。 お前にも名前をやるよ、そうだな、うん、アロってなのれ」 嫌だね、名前ならあるしな 「お前はオレのメシだから、お前の名前は、オレの一部から取ってアロだ」 はぁ、意味わかんねぇ お前故郷には帰んねぇの 「ひでぇな、オレが帰ったら困るのはお前ら人間だぞ」 その言葉にスーツの二人が慌てた。 「困ります、せめて全ての化け物を倒して頂かないと困ります」 女性が半分泣きそうだ。 「構わねぇけど、あれは湧いて出てくるぞ、なんせ、人間が信仰を捨てて蔑ろにしたせいで、生まれたナニカだからな。大元は俺にはどうにも出来ねぇよ。 故郷じゃ5000年前に大繁殖して、俺らの先祖は絶滅寸前まで追いやられたとか何とか」 スーツの二人の顔が引き攣る。 人間絶滅の危機に俺はまな板の鯉だ。 「お役人さん、俺の欲しいもんはとりあえずコイツ、あとコイツと俺が居られる家とコイツの食料それに、コイツに必要な物だな」 「あの、ディアロプスさんあなたの食べ物は、何ですか? 」 えっ とアイツが驚いた顔をして。俺を指した。 今度は女性が、えっ と驚いた顔になった。 「他に食べないのですか?野菜は?水は?」 あの女、俺を肉としてカウントしやがった 「いらねぇよ、逆にコイツが死んだら俺はこの星を出ていくぞ、俺はそいう生き物だから」 「そうなんですか、わかりました。 言われたものを用意します。それが整うまでこのコンテナを使ってください」 俺の意思は?食われるのは決定なのか? 「このコンテナに寝床は作れるのか」 「はい、用意します」 スーツ姿の女性が俺を見て頭を下げた。 「申し訳ありません、あなたの犠牲で、多くの人が助かります、ご了承ください」 「それに、硯田さんも喜びますよ」 スーツの男が俺に言った。 俺は目を見開いた後そいつを睨んだ。この男は俺を調べたんだ。 調べた上で断れないように釘を刺しやがった。 クソっ、、、、硯田さん。 「この場所に居住できるように整えます。監視体制が整い次第住めるようにしますので、トイレやお風呂は簡易ですが出来ています、ご案内しましょうか」 「見せてくれ」 スーツ姿の二人とディーが立ち上がった。俺はアイツにお姫様抱っこで運ばれる。 一通り施設の説明を受けたあと、俺と、アイツは初めのコンテナに戻ってきた。 戻ってくると、コンテナの奥にベッドが二つ既に設置されている。 俺は片方のベッドに降ろされた。 すかさずアイツが俺に覆いかぶさりの首筋に噛み付いてきた。 首筋から熱が広がっていく。 動かない体が高揚して俺の意志とは関係なく勃ってしまう。 ヤメっ 「ヤメないよ、俺、話し合いとかで腹減ったし、お前の具合も確かめたいからな」 意味ありげに俺を見た。 「いい声で鳴けよ」 なっ どういうっ あっ、ヤメ、うぅ、あっ、はぁン。 俺が欠けていくのはとてつもなく恐ろしいはずなのに、思わず「もっと」とせがんでしまいそうになる。 俺から離れた指がアイツの口の中に消えていく時の恍惚とした顔がどうしょもなく唆る。 結局食われては、生える俺の腕をあの顔で10本も食う。 噛みつかれる度に痛いのに痛みが体を熱くさせ、その度に硬くなってしまうソレを体をしならせて吐き出すを繰り返した。 アイツは嬉しいそうにソレを眺めていた。
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