詩の花

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 どこまでも広がる森を歩く  一歩一歩、地面の感触を確かめながら  風に揺れる無数の木の葉は、この世界の言葉だ  ひとつひとつ、特別な意味を持っている  私は森の香りをかぐ  心の中で、言葉の声が渦を巻く  どの葉を手に取ればいい?  それはすぐにはわからない  ゆっくりと息をして、葉が揺れる音に耳を澄ませる  ひらり、ひらり、葉が舞い落ちる  私はその葉を、そっと掌で包む  一枚、一枚、言葉が重なっていく  ふんわり重なった葉の中から芽が生えて  小さな蕾が膨らむ  私だけの詩の花の蕾だ  元気に花が咲くように  大事に、大事に育てよう
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