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その事実に驚きを隠せなくて、口をぽかんと空けたまま返事を返すことも出来きないでいると、そんな俺を見て佑人が悲しそうな顔をしながらため息を漏らした。
「はぁ…ごめん。気持ち悪いよな…」
「えっ、やっ…そんなこと言ったら俺だって…っ、佑人がここに引っ越してきたその日からずっと佑人の事見てた。俺だって気持ち悪いだろ…」
「んふっ、じゃあお互い様だなっ…」
「お、おぅ!そうだなっ!」
お互い笑いあった後の急な静寂…
静まり返った部屋の中に憧れてた人と二人きり、謎も解けて嬉しい半面俺にはもう一つ気になることがあって、未だに少しドキドキしながら絡ませた手をぎゅっと握り、意を決して佑人に問いかけた。
「佑人、俺らは…その、両思いって事でいいんだよな?」
「うん…雪月もそうなら…」
「じゃあ…あの人は?…この部屋に来てたあの長身の彼。あの人は彼氏じゃないの?」
「あぁ、アイツはただのセフレ…」
「セフレっ…て…///」
彼氏じゃなかったんだっていう安心感と同時に、それをする為だけの人だって事を知って動揺を隠しきれなかった。
これからも…その関係は続けるのだろうか。
俺はそれを許せる…?
いや、許すも何も俺らはまだ―――
「引いた…?」
「いや、別に…」
「雪月が切れって言うなら切るよ…」
「けどっ…俺にそこまで言える権利は…」
「切れって言えよ…」
「え…っ?」
「俺のこと好きなら…切れって言って…」
俺は元来、束縛とかそういうことをするタイプではないが、佑人に関しては少しあの人に嫉妬していたのは確かだけで、でも最初にあの光景を目にして興奮したのも確かで、思い出すと未だにお腹の奥がじわりと疼いてしまう。
「…もしかして、あーゆーの好きなの?…そうだよな、アレ見て興奮してたもんな…」
「いや、あの時は…っ」
「いいよ…雪月がそーゆーの好きならまたしてあげる」
「いやいやいやっ、違くてっ…」
「違うの?」
「あ、いや…違くも…ないけど…」
「なんだよっ…ハッキリ言えよ…」
「んぅ…っ、じゃあもし…もし恋人になってくれるなら…そういうのは…切って欲しい…」
俺がそう言い終わると佑人は安心したのかニコッと笑って、握ってた手の感触が徐々に弱わまっていき静かに目を閉じた。
もう寝たかな?と思い俺が少し体制を変えようと動くと、ぎゅっと手を握り返され薄目を開けて俺を引き寄せた。
「一緒に…寝て…?」
「あ、うん…///」
そっとベットに入り込み佑人を抱き寄せて、少し汗ばんだ額を手で拭いながら頭を撫でれば、再び瞼が閉じてスヤスヤと寝息を立て始めた。
「おやすみ…佑人」
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