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成瀬さんの誘惑
その日の夜は、ぼーっと天井を見上げながら過ごした。
見たいけど、もう恥ずかしくてカーテンを開けることすら出来ない。
見てるだけでよかったのに…
あんな風に言うってことは、見てるだけじゃ嫌だって言ったら彼は俺に何かしてくれるんだろうか。
いや、逆にストーカーだって思われて通報でもされたらどうしよう…
期待と不安で頭がどうにかなりそうだ。
暫くあらやこれやと考えていたが、結局気になって仕方なくて勇気をだしてそっとカーテンを開くと、外はいつの間にか日も暮れて真っ暗になっていた。
そして成瀬さんの部屋には明かりが灯いていて、そこには影が二つ…
例の背の高い彼が来てるのか。
見たいような見たくないような…
暫く考えてもう一度カーテンの隙間から向こうの窓を眺めれば、先程よりしっかりとカーテンが開けられていて、こちらを向きながら彼に対面で突かれている成瀬さんの姿がハッキリと見えた。
これはわざとだと悟ると同時に、成瀬さんの視線が俺に鋭く突き刺さる。
そして俺を煽るようにニヤッと嘲笑い、彼にしがみつき舐める様に彼の唇に舌を這わせ、突かれる度に恍惚な表情を浮かべる成瀬さんの姿を見てしまえば、ムクムクと勝手に湧き上がる欲求を抑えきれず俺は疼く自身のソレに手を伸ばした。
パンツを下げて先走る欲を絡め取りながら揺さぶられる成瀬さんに合わせて上下させれば、成瀬さんも貪るようなキスを止めてこちらに視線を移した。
突かれている快感で顔を歪めているんだろうけど、俺には俺の行為を見て興奮してるように見えてきていよいよ耐えられなくなってくる。
「はぁっ、あぁっ、成瀬さん…っ!」
「入れたいっ…あっ、う…っ」
「見てるだけじゃやだ…っ!あっ、成瀬さんっ!」
「んっ、ぅ…あっ、イッていい…っ?」
そう合図を送るとコクリと頷いたように見えて、俺が手の動きを早めると成瀬さんも自ら腰を揺らし始めた。
「あっ、ん…っ、はっ、イクっ、イクよっ!」
ビュルッと欲が吐き出されたと同時に成瀬さんも電気が走ったかのようにビクビクと震え、彼にもたれながら息を整えている。
「はぁっ、はぁ…っ、一緒に…イった…?」
何とも言えない満足感でいっぱいになり成瀬さんを見れば、こちらを見ながらまたニヤッと笑いかけてくる。
もうダメ―――
成瀬さんからの謎の誘惑に耐えられなくて、俺は視線をそらしベットに身体を預けた。
あんなことされたらもっと欲しくなるじゃん…
見てるだけじゃヤダ…
あなたに…触れたい―――
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