終末日記

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終末日記

実家にある俺の勉強机の中を整理していたら、古い日記帳を見つけた。 書かれている日付的に小学校の頃のものらしい。三日坊主で飽きたのか、8月に入って早々、絵日記は打ち切りになっている。 このまま捨てるのももったいない気がして、俺は残りの空白のページに、適当なことを書いていった。 「8月7日 晴れ 小学校の同級生に出会う」 うーん。これじゃあ面白くないな。地元に戻ってきている今、同級生に会うのなんて珍しくないし。 初めは「スイカを食べた」「蝉の抜け殻を見つけた」など夏の日記らしいことを書いていたが、ありきたりの内容じゃ面白くない。途中から荒唐無稽なことを書くことにした。 「8月12日 雨 空から雨と一緒に魚が降ってくる」 「8月25日 晴れ プリンセスに告白される」 プリンセスって何だよ! と思わなくもないが、俺の貧困な発想ではそれくらいのことしか思いつかない。陳腐なファンタジー小説のような日記ができあがりそうだ。 俺は律儀に8月31日、最後のページまで埋めて、その日記帳をゴミ箱へ捨てた。良い暇つぶしになった。 翌日。 夏休みの空気を満喫していると、母親に小言を言われる。 「あんた、こっちに戻って来てからずーっと部屋でぐうたらして。たまには外に出たら?」 「クソ暑いのに嫌だよ」 俺が反論すると、母はいくつか商品名のところにマルが書かれたチラシを見せてきた。 「散歩ついでにちょっとそこのスーパーでチラシにマルついてるやつ買ってきてよ。今日特売日なの」 「絶対それが目的だったよね!?」 暑いから外には出たくないが、母に逆らっても良いことはないので、おとなしくスーパーに向かった。 母親のお目当ての商品は全て手に入れることができた。この暑い中、家までチャリを走らせないといけないのか……とげんなりしていたが、レジの女の子がめちゃくちゃ可愛くて、テンションが上がった。親孝行して良かったわ。親孝行と言ってもスーパーに買い物来ただけだけど。 この女の子にまた会う為に、実家の滞在期間をもう少し延ばそうかな。どうせ大学はまだ始まらないし。
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