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4.男性司書と私
それから私は、足しげく図書館に通ってはピルチャーの本を借りた。そして男性司書とピルチャーについて会話をした。
毎回ほんの数分で。でも、その時間がとても愛おしくて。
ピルチャーの作品の世界は、とても愛が溢れていた。優しい愛、激しい愛、親子の愛、友人との愛、そして恋人達の愛。全ての愛がそこには詰まっていたの。
そして何よりも抒情的な風景描写と、自分もそこに居るかのように錯覚させられる日常の描写。全てが素晴らしい世界だった。
私と彼は、図書館でのほんの数分の会話では物足りなくなって、大学の外にあるカフェでお茶をする約束をした。
約束の日、彼は息を切らせて待ち合わせの場所に来た。ほんのりと頬が紅潮していて、それが冬だっていう事が驚くような汗を掻いていた。
「ごめん、出がけにキリが良い所まで本を読んでいたんだ。間に合って良かったよ」
「うふふ、遅れても良いからそんなに焦って来なくても良かったのに……」
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