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おっぱいを追い求めて
陽が完全に海に沈む時、ぼくは魔女のループ魔術をおっぱい観察日記をなげ止めた。
「魔女よ。今この瞬間全ての点が線に繋がった」
「で、聞こうじゃないか。点と線の謎」
「マサシさん。そろそろ行動しないと。時間の限界です」
「スピラよもう始まってるんだよ。人魚姫からの脱出は」
「ほう」
魔女は眉毛を吊り上げた。
「ぼくたちのループはすでに何百何千と行われている」
「マサシよならば、そのループの証拠を見せよ。人魚界の掟を、その謎を破って見せろ」
魔女はにやりと笑う。
「マサシさんあと10分ももたない」
確かにスピラの言うように本気でタイムリミットが近づいている。
「まず、ぼくが違和感を覚えたのはスピラの焼きそばだ。普通に考えて人魚が焼きそばなんか好きか?なんで箸も上手につかえるんだよ。メロンソーダと焼きそばを女の子といえど、海の生命体が好きか?」
「続けろ、小僧」
「あぁ、やってやるさ」
「それと、叔父の撮った7月15日のスマホの画像だ。確かに15日のぼくは老けていた。急にだ。
その証拠にこれが、1年前の大学に通っていた時のものだ」
「マサシさん、確かに若いかも。15日から急に老けたって事?」
「スピラ違うんだ。ぼくたちはループは続ける間に年だけはとっているんだ」
「小僧、それで最後か? この魔術の最後の審判は海神にゆだねるぞ」
「ああ望むところだ」
天空は突然の雨雲に覆われ、落雷が落ちる。
波は荒れ、唯一の月燈をグラグラと揺らした。
ぼくはその天地海に向かい叫んだ。
「スピラのおっぱいは15才のしろもんでない!!!
熟女レベルだーーーー!
ババア、海神よく聞け!
ぼくとスピラは幾度のループの中、中年と熟女になってしまったんだ!
ぼくのおっぱい病も、スピラの巨乳も全て重ねた熟年夫婦なやつだ!」
海が割れた。ぼくたちの前で。波を切り裂いて何か白い物が近づいてきた。
小型船?
船を操縦する姿が稲光により一瞬映し出された。
「まっちゃん?」
スピラはボソリと呟いた。
まっちゃん?
「か、海神様」
魔女のババアがひれ伏し、砂浜に頭を擦りつけている。
スピラが抱きついたぼくの耳元で静かに話す。
「マサシさん、あれ海神様、まっちゃんだよね」
まっちゃん?本当だ。
「マサシ、おれ海神なんだ」
まっちゃんは缶チューハイを船でグビリと飲んだ。
「マサシ、審判の時間だ!その魔女がかけたループを解ければ人魚界の掟はわたしが解除してやろう」
ぼくは魔女を見た。暴風の中にまっちゃんに見せる鋭い眼光は、冗談じゃない事を物語っていた。
「ではいくぞマサシ。ドゥルルルル‥」
まっちゃん、いや海神は自ら口でドラムロールはじめたぞ。海神とか言いつつもまっちゃんでしかないな。
「ちーん。ちん」
あいつ最低だな、人の人生決める瞬間に下ネタかよ。
「マサシ、お前全然違うよ」
ぼくはまっちゃんの言葉に凍りついた。
推理が一切合って無かったって事なんだろう。
「マサシ、お前一回もループしてないぞ」
まっちゃんは、船から降りて行った。
「でも、、スピラの焼きそばの箸使いとかは?」
「ただ、器用で感が良いからだろ」
「ぼくが一年前から急に老けたのは?」
「引きこもってたから、なんとなくだろ」
「スピラが15才なのに、巨乳なのは?」
「お前なぁ、なんで巨乳=熟女なんだよ?20才すぎて童貞だろ?」
ぼくは打ちのめされた。落雷より暴風よりハンマーの一撃をくらった。そうだぼくは童貞なのだ。
「で、海神様。人魚界の掟は?」
スピラの問いにまっちゃんはにっこり笑う。
「あぁ、なんだよマサシ。言ってくれれば良かったのに。人魚王ってあれだよ、スピラちゃんの親父だろ。そんな掟辞めさせるわ。人魚王も人間が嫌いとかじゃないんだよ。心配なんだろ、娘の事だし。
マサシは昔から知ってるし、俺が保証人になってやるよ。じゃあなちょい行ってくるわ」
まっちゃんは再び船に乗りエンジンをかけた。
「まっちゃん、スピラは人間になるのか?」
「そこは知らん。それはその魔女との契約だろ。俺魔法使いじゃなく、イカ釣り漁師だから」
まっちゃん、、あんた海神ってほぼ忘れかけてるじゃないか。と突っ込もうとしたら海を引き裂いて海底に潜って行った。
「じゃあぼくたちは」
「うむ、大丈夫なようじゃな。よくわからんが、わたしの役目も終わりじゃな。でわ」
「お待ちください、魔女様。わたしのおっぱいを献上すればさらに人間になれるのですか?」
「あぁ、それは可能じゃな」
ぼくはスピラの前に立ちはだかった。
「魔女、貴様にスピラのおっぱいは絶対わたさん」
「でもマサシさん。わたしが人間になれば、2人の子を宿す事が出来ます」
「そんなものはいらーーーん。わたしはおっぱいがあれば良いのだ。人魚とか人間とかどーでもいい。スピラのおっぱいがあれば」
自分でも信じられない程の叫びは辺りをフリーズさせた。
「魔女様、ちなみにわたしが仮におっぱいを献上したら、そのおっぱいはどうなるのでしょうか」
「そのおっぱいはわたしに移植される。マサシよわたしに移植したら揉み放題じゃぞ」
なんだって!このババア。まじかまじなのか。
「ま、ま、魔女。それは好きな時に揉んだりしてよいのか?」
「あぁ、朝飯前や夕食中やなんなら挟んだり舐めたりやりたい放題じゃ」
なんて事だ、こんなトラップがあるなんて。
スピラと話したりデートしながら、ババアの乳を揉めば一石二鳥。カレーハンバーグなようなもん。
ぼくがあらゆる構想や妄想によだれを垂らしていると殺気を感じた。
スピラが半目になり氷のような視線をぼくにむけていた。
「あら、マサシさん。魔女様に挟まれたりなんやりしてなさっては」
スピラはそのまま海に飛び込み、海底に消えた。
「ち、違うんだスピラ。乳が好きなんじゃない。
スピラのおっぱいだからなんだ。スピラーー」
砂浜に打ちひしがれるぼくの背中を魔女が叩いた。
顔をあげると、上半身裸の魔女が腰あたりまで垂れ下がった乳を指差し「吸っとけ」とウィンクした。
ぼくは泣きながら海に飛び込んだ。
やだやだやだやだ、ババアの垂れた乳じゃない。スピラのがいいんだ。
背中に重みを感じた。
魔女が背中に乗っている。
「おい、迎えにいくんじゃろ」
魔女は潜水艦を指差す。
「お、ね、が、い、しまーーーす」
ぼくの鬼クロールのスピードが増すほど、ババアの乳が背中に擦れていくのであった。
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