わたしの莉子ちゃん♪

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〖 莉子ちゃんと 受験 ♪〗 定夫が亡くなって、マツは自宅で自家製味噌を作り、販売して生計をたてていました。 勿論、それだけでは経済的に苦しいため 息子や娘が18歳になったら家を出して いわゆる出稼ぎに行かせて その御給金を送ってもらい、やりくりしていました。 当時は戦争や病気で大黒柱が亡くなる事や 兄弟姉妹が出稼ぎに行く事などは たいして珍しくもなかった世の中だったため 莉子ちゃんの家もそうやって兄弟姉妹で 支え合って生活していました。 裕福とは無縁な生活のため 兄弟で誰ひとり、高校へ進学した人はいません。 しかし、末っ子で、しかも破天荒な莉子ちゃんは納得がいきませんでした。 「私、高校に行きたい」 家の在り方に兄弟が誰も異議を唱えなかったのに、莉子ちゃんだけがマツに異議を唱えました。 マツは猛反対しました。 「そんなお金がどこにあるの?」と。 莉子ちゃんは言います。 「奨学金を出してくれてる企業の試験を受けるわ。母ちゃんには1円も出させない。試験に合格したら、莉子を高校へ行かせて」 当時、有名飲料メーカーなどの企業が 貧しい家庭向けの奨学金制度を打ち出していたらしく、その試験に合格したら高校へ行けると学校の先生から言われたらしいのです。 負けず嫌いの莉子ちゃんは、学校の成績は常にトップだったため、その話が舞い込んできたのでしょう。 マツは、どうせ受かるはずが無いのだから 受けさせるくらい良いか、と 莉子ちゃんの高校受験を了承しました。 そして、、、 莉子ちゃん見事 合格!! 兄弟の中で たった一人 莉子ちゃんだけが高校生になったのです♡
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