わたしの莉子ちゃん♪

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〖 莉子ちゃんと 修学旅行♪〗 晴れて 高校生になった莉子ちゃん♪ 毎日 順調に学生生活は過ぎて行きました。 そんなある日 皆が楽しみにしていたのは修学旅行♪ もちろん、タダで行ける訳もなく 莉子ちゃんはマツに言いました。 「修学旅行に行くのにお金がいるんやって」 「わかっとるやろ?うちにはそんなお金ないんや。我慢しなさい」 マツはピシャリと言いました。 莉子ちゃんは一人泣きました。 悔しくて、悲しくて、修学旅行当日まで 泣きました。 「父ちゃん・・・・」 定夫が生きていたら、きっと家の経済状態も 安定していたし 兄弟が出稼ぎに行く事もなかったのに。 莉子ちゃんがクラスで一人だけ 修学旅行に行けない、なんて事には ならなかったのに・・・・。 莉子ちゃんは初めて定夫を恨みました。 どうしてこんなに早く逝ってしまったの、と。 修学旅行当日。 莉子ちゃんは泣きながら過ごしていました。 今頃みんなは何を見て、何をして楽しんでいるんだろう・・・・。 修学旅行が終わる日まで 何を見ても、何をしても、莉子ちゃんの心が晴れる事はありませんでした。 クラスの皆が帰ってきて、今日から普通授業が始まります。 莉子ちゃんは学校へ向かう足取りも重く、朝からとても憂鬱でした。 いったいどんな顔をして、皆の話を聞いたらいいのだろう・・・・。 莉子ちゃんは絶対に皆の前では泣かないぞ、と心に決めて、教室のドアを開けました。 その光景を見た時、莉子ちゃんの瞳から わっと涙が溢れてきました。 なんと、 莉子ちゃんの机の上には、机に乗りきらないほどのお土産が山になって置かれていたのです。 それは、一緒に修学旅行に行けなかった莉子ちゃんへ、クラスメイト全員から、心のこもったサプライズでした♪
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