宇宙人発見

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 これは誰にも内緒の話だが、僕は宇宙人を発見した。  どこで見つけたかって?  それが驚くべきほど近くだ。  左隣の席。  袴田さんだ。  彼女は人間を装ってはいるが、中身は宇宙人で間違いない。  根拠?  そんなものは数え上げればきりがない。  まず、レモンのような良い香りがするのだ。  人間なのにレモンのような香りがするなんてあり得ないことだ。  他に?  よく見て欲しい。  彼女の眼を。  眼が異常に大きいのだ。しかも黒眼がちときたもんだ。  アニメに出てくる美少女キャラかアイドル並みの瞳をしている。  他に?  手足が人の一.二倍程長いのだ。  確かグレイという宇宙人の特徴と一致するのではないか。  極めつけはこうだ。 「わたしと付き合ってください」  十五年間、彼女がいなかった僕に、にっこり笑って、そんなことを言う。  美的感覚がずれている。  地球外の基準?  それとも、二人きりになったところをUFOで連れ去り、キャトルミューティレーションするつもりか! 「何で僕なのですか?」  僕は心の内をテレパシーで悟られない様に、できるだけ感情を押し殺して、無表情に尋ねた。 「だって、面白いんだもん。灰原君」  彼女の瞳が、不気味に輝く。 「今の言い方、何だか宇宙人みたい」  宇宙人のおまえが言うなー!  おしまい
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