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「確かに。言えてる。何回でも歌えばいいよな」
「そうそう」
「結婚式でも歌ったからなー」
「そうだそうだー」
「タケちゃんおめでとー。幸せになれよー」
「おめでとー。会ったことないけど」
「いいやつですよー」
「そうなんだー」
「ほんとにね、具体的なエピソードはまったく出てこないけど、いいやつなんですよ」
僕はこの店に来てから三杯目のレモンチューハイを飲み干した。
「私も飲んでいいですか?」アリサが百点満点の営業スマイルで言った。
「もちろん」
「ありがとー」
アリサが三杯目の焼酎の水割りを手早く作り、
「イエーイ、かんぱーい」
グラスをぶつけ合う。景気のいい音が鳴る。互いに半分ほど飲み干した。
「お兄さん、いい飲みっぷりですね」
となりにいた男が話しかけてきた。干からびたヤギみたいな男だった。
「そりゃ、どうも。ありがとうございます」言ったと同時に残りの半分も飲み干した。
ヤギ男と彼についていたキャストの女、ユリが歓声を上げ、拍手をした。
「このガールズバーはよく来られるんですか?」僕は訊ねた。
「まあ、何回か」
「僕、初めてなんですよ。今日、友人の結婚式の二次会終わりで」
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