リンゴ色のシャンパン

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「良かったじゃないですか」ヤギ男が笑う。 「ですかね。こっからがんばるしかないですかね」 「そうがんばろ。何飲みます?」アリサが空になったグラスを指さした。 「同じの」 「私も飲んでいい?」アリサが言った。 「もちろん」 「ありがとー」 「私もいい?」ユリがヤギ男に言った。 「どうぞ」 「やったー」  頭がグラグラしてきた。体が大きく揺れる。その度に微睡のような心地よさが全身を巡った。二次会終わり、終電で帰って行く家庭持ちと明日仕事の友人達を見送ってこの店に一人で来た。馴染みの店ではなく、繁華街をうろついて、一番初めに声をかけてきたキャッチについていった。呂律の回らない口調で、「ぼったくりじゃないよね?」と何度も確かめながら、よろける足でこの店に案内された。  入って一時間が過ぎたころ、会計を見せてもらったが妥当な額だったので延長した。ヤギ男は僕が来た時にはすでにいて、ユリと喋っていた。  僕はデンモクを操作し、乾杯の歌を入れようとしたが一旦止めて、もう一度、写真を見返した。
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