第2章 薫の冒険

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 薫は、咎人の言葉から彼が誤解しているのだと確信した。そもそも祖母は自分で確かめない限り、すぐに刺客を差し向けるようなことはしない慎重な人物だし、その変な男という人物も知らない。  それに、薫が咎人を探しに来たのは、何も外に情報を売り渡すためではない。もっと個人的な理由からだ。  そして、薫は自分自身も咎人のことを誤解していたと確信した。咎人は大事件のことを知らないようだったし、指名手配にされているのも今知ったという顔だった。  もしかしたら、彼は大事件の首謀者であることを隠している可能性もある。だが、子供時代から邪悪な魔獣や魔物を見てきた薫にとって、咎人はそれらの存在ほど邪悪な部分が見受けられなかった。  咎人は粗暴だが、悪い人ではない。先ほどは祖母が言う通りの指名手配犯だと誤解して、確かめることなしに逃げ出してしまった。それが、咎人には自分のことを外に告げ口するために差し向けられた間諜(スパイ)のように見えたのだろう。  何とかして、誤解を解かなければいけない。そう決心した薫は深呼吸して、泣くのをやめた。涙に濡れた翡翠の瞳で、咎人の顔を真っ直ぐに見つめる。 「な、何だよ……?」咎人は戸惑った。 「狼森さん、僕は」
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