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レイモンドは咎人の側にいたルチェの名前を呼び、大きく手を広げた。ハグするつもりなのだろう。ところが、ルチェはそれを回避し咎人の背中に隠れてしまった。
最愛の娘に嫌われたことを再び自覚したレイモンドは、萎びた果物のようになって居間からとぼとぼ出て行った。
執事は主人を一瞥し、ルチェの方に向くと笑顔になった。
「では、ルチェ様。そろそろお部屋に参りましょうか」
次に咎人の方を向いた時には真顔に切り替わった。
「狼森様、先に結界の方へお急ぎください。私は後から向かいます」
咎人は曖昧な返事しか言えなかった。ジョナサンはそのままルチェと手を繋いで居間を出てしまった。
一人居間に取り残された咎人は大きな溜息を吐いた。待機していても執事に叱られるだけなので、仕方なく屋敷を出ることにした。
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