第2章 薫の冒険

27/160
前へ
/323ページ
次へ
 玄関ポーチから飛び出し花壇を抜け、枯れ草が広がる庭に出た。ここまではいいものの、どの方向に走ればいいのかわからなかった。  結界は屋敷の敷地、全方位を取り囲んでいる。屋敷の存在を外部の人間に知らせないためだ。なぜそうする必要があるのかを問いただしてみたら、レイモンドたちにもまた厄介な敵がいるからだという。  何者かまでは教えてはくれなかったが。  レイモンドもジョナサンも詳細な場所を教えてくれたらいいのに。咎人は苛立って地面を蹴った。黒光りする靴先は枯れた草を掠り、草は伸びていた方向とは逆に倒された。  一先ず咎人は門から出て山道を抜けた先にある結界を見に行くことにした。  一ヶ月前、屋敷から抜け出そうとして叶わなかったあの場所へ。
/323ページ

最初のコメントを投稿しよう!

12人が本棚に入れています
本棚に追加