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咎人は一瞬結界に近付くのを躊躇い、ジョナサンが来るのを待機しようかとも考えた。しかし、レイモンドに命令されているのに様子を見に行かない訳にはいかない。
主従関係の面倒な悶着を起こしたくもないので、一先ず結界に近付くことにする。
歩を進めるに連れて、人影の姿形が次第に明確になった。
それは、登山向きの服装をした青年だった。
頭には白い耳当ての付いたライトベージュのニット帽を被り、額から切り揃えた前髪がはみ出ている。大きな眼球には翡翠色の宝石が輝く。
カーキ色のマウンテンパーカーとルビーレッドのマフラーで着太りはしているのだろう。下から伸びる細長い両脚と、帽子とマフラーに包まれた小顔が、細身の身体を示す。
背丈は咎人の肩までの高さだ。顔は整っている方だが、よく見れば若干幼さが残る。年齢は10代前半だろうか。
上から下を眺めても、どこにでもいるような今時の若者だ。幽木区でよく見掛ける青少年たちとは何ら変わりはない。
先ほどから繰り返す、殴る蹴るの行為を除いては。
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