第2章 薫の冒険

30/125

10人が本棚に入れています
本棚に追加
/288ページ
 咎人は初対面の人間と目を合わせるのが苦手だ。況してや、向かい合うことさえも無理に等しい。あの夜、レイモンドとお茶を飲みながら話をされたが、あの時も正直逃げ出したくて堪らなかったのだ。  ところが、今の咎人の場合は初対面の青年を前にしても平気でいられた。ここから離れたいとも、逃げ出したいとも思わない。  青年は咎人の存在に気付いていない。  気配を感じて後ろを振り返ると、そこにはジョナサンとレイモンドの2人がいた。レイモンドの方は何やら興味津々な笑みで、外部の来客を観察する。  咎人は嫌な予感がした。
/288ページ

最初のコメントを投稿しよう!

10人が本棚に入れています
本棚に追加