第2章 薫の冒険

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 目の前で結界との格闘を繰り広げる青年。そんな素性の知らない人間をこちら側に招く。  咎人は屋敷に滞在してほんの1ヶ月しか経過していない。だが、レイモンドが時折迷惑な思い付きをするのはよく知っていた。その思い付きは全て、空気の読めない度合いが甚だしい。 「おい、お前」咎人が苛立たしげに声を上げた。 「侵入者だぞ。その辺の若い奴と変わりないかもしれんが、敵の襲来だったらどうしてくれんだよ」 「同感です。この若者をこちらに転がす訳にはいきません」ジョナサンも主人に反論する。  しかし、レイモンドはむぅと唸って反抗的な目を2人に向けた。それは丁度欲しい玩具を買ってもらえずに駄々を捏ねる子供のようだ。使用人の忠告に聞く耳を持たないつもりだ。
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