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キリエさんは僕と目も合わせず、黙って水を飲んでいた。
もう週末のたびに迷惑を掛けて、毎度同じように「すみません」とばかり謝っているから、たぶん飽き飽きしているのだと思う。
彼女は白い顎先を天に向けて飲み干すと、ふうう、と深く息をついた。
「純太さー」
グラスに水を汲みかけた僕の手が止まる。
「すみません、すみませんって言いすぎやな」
「はあ」
「それやったら、いざというときの言葉が軽うなるし、もう止めた方がええよ」
けど、なんてことだろう、僕はそこでもう一回「すみません」とやってしまった。
そのやり取りが聞こえたのだろう。
厨房にいる中年女性パートの霧島さんが「あーあ」といって失笑した。
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