5/6
前へ
/180ページ
次へ
『あとから親友の美奈実に  聞いたんだけど  でもあれから山下君と  会う機会がなくなって……』  それを読んで、僕はひどく驚いた。  なぜって、自分にはそんな記憶が一切ないからだ。  たぶん、人違い。  つまり”山下”違い。  僕のアプリ名が「山下」だから、彼女は早合点して間違えたんだ。  どおりで僕は、彼女の名前におぼえがなかったのである。  ずっと胸にあったつかえが氷解したが、自分たちが実はまったくの赤の他人同士であったことを知って、僕はすっかり意気消沈してしまった。
/180ページ

最初のコメントを投稿しよう!

9人が本棚に入れています
本棚に追加