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『ごめん。
やっぱり、その”山下君”
僕じゃないよ』
『どういうこと?』
『僕は確かに山下だけど
その”山下君”は別人
板橋さんの事故の件
申し訳ないけど
僕には全然記憶にない』
彼女は、混乱したかもしれない。
返信まで、しばらく間が空いた。
『でも、私の名前を
知っているんでしょう?』
僕は一瞬ためらったが、正直に言うしかない。
その代わり、僕たちの関係はこれで終わりになると思う。
『ごめん
いつか言おうと思ってたけど
実は知らなかったんだ』
そう打って送信をタップすると、僕は胸の奥から深いため息をついた。
当たり前だが、既読サインがついたあとは、それきり奏絵からは返信が来なくなった。
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