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まさに微弱電流に触れたかのように、全身に痺れが走った。
彼女と同姓同名の人間、しかも歳の近い大学生なんてそうそういるものではない。
僕は思わず彼女の顔を見直した。が、彼女は横にある資料ファイルに目を通したまま、僕の目線に構わず、誰かに呼ばれるままにそばのカラーボックスにさっと手をつくと向こうへ行ってしまった。
僕は長机に用意された登録用紙に名前や連絡先を記入しながら、そのオレンジ色のTシャツでかたどられた、ほっそりとした背中に見入っていた。そして彼女のどこかか細い声に聴き耳を立てた。
あのメッセージのやり取りをしていた彼女と、向こうで他のスタッフと打ち合わせをしている彼女とのギャップは、眺めれば眺めるほど、埋まっていく。
あのアイコンの画像と今見えている後ろ姿の感じも、髪の色以外、特に違和感がない。
(彼女に間違いない)
僕はそう確信した。
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