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 なんだかひどく打ちのめされた気分で僕は、北陸本線を南下する列車に揺られていた。  車窓から見える、この地方特有の物寂しい景色が、なお僕の胸をしめつける。  あれは、もう他人でいたいというサインなのだろうか。  あるいは、彼女がいったように本当に人まちがいなのか。  あのまま声なんて掛けなければ良かったのかもしれない。  が、彼女とのことでケリがつけられたし、結果として一番すっきりしたのではないだろうか。  それでも、いつの何にたいするものか分からないまま、強い後悔じみた念がいつまでも僕の中でぐるぐると回っていた。  ボランティアは明日もあるから頑張ろう、と同じくボックス席にいる中野たちが盛り上がっていたが、先ほどの彼女との会話を反すうするばかりで僕は気もそぞろだった。
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