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 料理を運んで帰ってくる間もなく、レジで会計中の先輩、キリエさんから声を掛けられる。 「5番卓に新規3名様やし」 「わかりました!」  僕は茶のサーバーの前で立ち止まり、湯呑を盆に並べた。  途端にパントリー奥から声がする。 「山下あ! 次の料理い、早く取りに来いよ! 間に合ってねえっての!」 「あ、はい! すみません!」  迷ってキリエさんに目をやった。 「まあえーわ。新規、あたしがやるし。純太はあっち行って」  彼女も忙しくなると口の聞き方がきついが、アルバイト歴は長いとのことで、ホールはもちろん厨房も難なくこなす、とても頼りがいのある一歳上の先輩アルバイトである。  僕は頭を下げて、キリエさんとパントリーに向かってそれぞれ「すみません!」といってから、奥へ入った。
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