ベッドの中

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ベッドの中

「眩しい…」 ほんの少し開いているカーテンの隙間から、 朝陽がさして、寝ている私を起こした。 眩しさにあわてて布団に潜り込む。 あー 気持ちいい、凄いフカフカな布団。 布団にくるまりながら、今までにない位幸せな気持ちになる。 あまりの気持ち良さに、また睡魔が襲って来た。 ほんの少しウトウトし始めて気付く。 待って、カーテンの隙間からの日差しは、もう 昼くらい? 「何時だろう…」 頭の上の目覚まし時計を探る。もっと右?  いや左? 有る筈の時計がない。 布団に潜ったまま手だけを動かしてみる。 やっぱり無い。 じゃあ、スマホ、スマホ、枕元にあるはず。 でもこれも何故か無い。 もしかしたら寝過ごしてるかもしれない。 慌てて布団の上に起き上がる。 掛け布団から出た私の上半身は何も身に着けていなかった。 えっ えっ えっ!?なんで? まだ寝ぼけてるのかな?と考えてるうちに、 あることに気付く。 ここは何処?良く見るとこれは私のベッドじゃない。 私の掛け布団はこんなにふわふわじゃない。 見るからに高級羽毛布団。 ここはどこなんだろう?ホテル?昨日の記憶がすっぱり抜け落ちていた。 まだ意識がはっきりしないまま、周りを見回す。 大きなベッドの右側に、誰かが寝ている事に気が付いた。 布団からほんの少し茶色く染まった髪が見えていた。 「えっ・・・」誰?  誰? この人が知っているのだろうか? 何故私が此処にいて、何故上半身、裸なのかを。 私は恐る恐る、布団をめくる。 そこにいたのは20代の男の子だった。 「可愛い…」 こんな時になんて不謹慎な言葉を発したんだろう。 そう思いながらも、再び、「可愛い…」私の心が呟いた。 知らない男の子だ。 良く顔を見るために顔を近づける。 彼の寝息が聞こえる。とても気持ち良さそう。 私の髪が彼の体に触れ、彼の身体がぴくっと動いた。 あっ!!! その時初めて気付いた。 彼も裸だった。 彼の寝息と共に上下しているその上半身は、腹筋がきれいに割れて すばらしい曲線を作っていた。 私は思わずその腹筋に触れそうになる。 手を伸ばしかけて、自分の格好がどんなだったかを思い出す。 此処に誰かが入って来たら、誰もが同じことを考えただろう。 私も考えていた。 したの? したのかな? 多分昨日の夜、行われたかもしれない行為を思い出そうとする。 でも記憶の中にその場面は存在しない。 私はしばらく彼の上半身をみつめていた。 この子とだったら…、悪くないかも。 なんでこんなコト、考えてしまうんだろう。 見も知らぬ男の子なのに。
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