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 しかし残念なことがひとつあった。せっかく圏外から100位以内に入ったゲームのランキングまで巻き戻されていたのだ。八月三十一日は起きてから食事とトイレ以外、ずっとそのゲームをやっていたが、同じことをもう一度再現するのは大変すぎてやる気が起きない。 「せっかく一日の猶予をもらったんだし、宿題でもやるか。俺という人間は元来マジメだからな」  そういうわけで俺は宿題に取りかかった。  今までの人生で一番勉強したと言っても過言ではない。必死で問題を解き、プリントの穴を埋め、作文をでっち上げた。  集中して取り組んだ結果、宿題が全部片づいたのは夜中のこと。  デジタル時計には、8/31 23:54 と表示されていた。 「なんとか間に合ったな。これで小畑(おばた)にイヤミ言われることもねえぜ」  俺はなんとも言えない充実感を噛みしめて、ノートを閉じた。  あとは寝るだけだ。  八月三十一日がもう一度来てくれたおかげで助かった、とベッドに寝転がりながら思う。  そして、デジタル時計に 9/1 00:00 と表示された。 ***
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