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大学一年の夏。
神奈川に引っ越して来て新学期から一人暮らしをしていた。
大学生活は順調だった。サークルに入って。
夏休みに入ってからは海に行ったり、先輩の家に泊まったり、とにかく遊びつくした。
夏休みの後半に夏風邪で盛大に体調を崩すまでは……。
熱はつらい。
ひとりでは動くことすら、まともに出来ない。もちろんご飯を作ることも出来はしなかった。
最初のほうは出前の商品を食べれていたが布団で栄養棒を食べることしかできなくなっていた。
外は暑いのに冷房をつけることなく布団にもぐってしまう。
普段は最悪に感じる。自分の生暖かい吐息も今日ばかりは冬の体育館のストーブの様に思えた。
体のあちこちが痛くなり、寒気でしだいに食欲が消えいく。
つらい、寒い、頭が痛い。
その苦しみから逃げるように睡眠薬を飲んだ。
そして、眠りについた。
目が覚めると8月31日だった。
大学の教授が出した。夏休みの課題が終わっていなかった。
こうして大学生になって初めての夏は終わった。
出前で無くなった通帳のお金、ゴミ箱にすら持っていけなかった栄養棒のゴミ。
やりかけの課題を残して。
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