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熱をはらんだ風の中に、時折ひんやりとした空気を感じるようになった。そこに潜む秋の気配に、過ぎ去ろうとしている夏が急に惜しくなった私は、昨日仕舞いこんだばかりの水着を再びクローゼットから取り出した。 「結局、着たのはあの時だけになってしまったな」 その水着を手に取りながら、この夏海外を旅した時に訪れた、とある島のことを思い出した。
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