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滞在5日間という決して長くはない行程の中、親友と向かった先は東南アジアのとある国。そこから小さな船で行く小さな島でのシュノーケリングが、私たちがこの旅の中でもっとも楽しみにしていたイベントだった。 それはツアー形式で、迎えのバスがホテルまで迎えに来てくれるというものだった。 バスに乗り込む私たちを、現地の男性のツアーガイドが数人並んで出迎えてくれた。 私は笑顔を作って、日本語で「よろしくお願いします」と言いながら、彼らの前を通り過ぎようとした。 こういう場合の笑顔と挨拶は私にとっては当たり前のことで、特別なことでもなんでもなかったが、ガイドの一人がびっくりしたように目を見開いて私をじっと見つめた。 そんなに珍しいことだろうか。 不思議に思いながら、私はもう一度彼に笑いかけて軽く頭を下げた。 スリムで長身の彼はくっきりと整った顔立ちをしていたが、ロリポップを手にしているところが幼く見えて、そのギャップがなんだか可笑しかった。
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