28人が本棚に入れています
本棚に追加
魔王は悩んでいた。
一体どうすべきなのか、暫く考えたがわからない。
地上の完全征服は目前ではある。
だからこそ魔王は考えをまとめておく必要があるというのに、どちらが正しいのか全くわからなかった。
にも関わらず、その思慮を邪魔するかのように部下Aが朝の定期報告を律儀に行いに来るものだから、魔王は少しうんざりする。
地上をほぼ制圧している現状では重大な報告事項など滅多になく、ただただ形式的に行う報告など不要と思えてならない。
本当に必要なことに時間を割くべきであり、無駄に行う業務ほど無駄なものはないのだ。
そんな無意味なことよりも、魔王はこの疑問の答えを模索すべく集中していたい。
「魔王様、ご機嫌麗しく」
別に麗しくはない。
しかしそんな思いを知らない部下Aは、いつものように恭しく一礼し、いつものごとく報告を始めるようとする。
堪らず魔王は制止した。
最初のコメントを投稿しよう!