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始まりの終わり
「何だよ突然」
「お前見てるといつもそう思う」
「何がさ。兄貴の方こそ何も終わってないし始まってもいないんだろ?」
「どうしてそう言える?」
「どうしてって……」
どう答えて良いのかわからない。
毎年夏の終わりに姿を現しては、僕に説教じみたことを呟き去って行く兄貴。
見た目は既に僕の方がずっと年上なのに。
それなのに僕はいつまで経ってもあの頃と同じ背格好の兄貴に説教を食らい続けていて。
何も変わらない。
十年以上ずっと。
ここにはあるべきはずの終わりや始まりが存在する気配が一切合切感じられないんだよ。
否――兄貴の説教には始まりと終わりはあるか、一応。
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