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終わりの始まり 2
「な、何だよその顔」
「お前さ、結婚して何年経つ?」
「え? ……1年半、かな」
急に何を言い出すのかと思ったら。
去年会った時はそんな話の一つもしなかったくせに。
まだ”おめでとう”だって言われてなんだぞ。
それともうちの奥さんに惚れたとでも言いたいのか?
そうなったら全面戦争勃発だ。
どっかのネトゲの一夜限りみたいなイベント感満載の。
突然の話の転換に訝し気な顔をしている僕の目を真っすぐ見つめて
「そろそろ良いタイミングなんじゃないか?」
「何のことだよ」
「良いから良いから。吉報は寝て待て、だ」
そう言って兄貴は立ち上がり、僕の顔を指さしながら
「それじゃな、親愛なる弟よ。さらば、だぁ~っ!」
まだ夏の暑さが残るジメ~っとした空気に溶け込むように、兄貴の姿は消えて行った。
爽やかさを醸しつつ不敵な笑みを浮かべたまま。
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